漢方薬が効かなかった方へ

咳に良いと言われる「麦門冬湯(ばくもんどうとう)」を飲んだけれど、ひどい咳が治らない。生理痛がひどくて「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」飲んでいるけれど、ずっと治らない。こうした経験から「漢方薬は効かない」、「長く飲まないと効果が出ない」と思い込んでいる方がいらっしゃいます。

 

漢方薬が効かない理由その1・処方の間違い

処方の間違いが起こる理由

なぜ、「漢方薬が効かない」のか、原因は大きく分けて2つあります。 その1つが、処方の間違いです。漢方薬というのは、本来、一人ひとりの症状や体質に合わせて処方すべきもの。パッケージの裏面に書かれている説明通りでは効きません。「麦門冬湯」は肺を潤し、咳を鎮める漢方薬ですが、風邪で身体の中に熱がこもっているときは、まず熱をとることが先決です。「麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)」など、熱を冷ます処方が必要になります。「麦門冬湯」だけでは効果が出にくいのです。

なぜ、多くの処方が間違っているのでしょう。

西洋医学と東洋医学には大きな違いがあります。西洋医学は、症状を鎮めるのを得意とします。一方、東洋医学は、体に必要なものは補って、いらないものは排除し、体のバランスを元に戻すという考え方が基本です。

服や靴と同じで、その人の状態に合わない処方では、効果が薄れることがあります。漢方薬の処方には、表面の症状だけではなく、体の奥底の状態を見抜く力が必要です。
体と漢方薬がピタッと合えば、すぐに効果が出ます。逆に、外すとまったく効かないのが漢方薬なのです。


症例1

中学1年生で、しもやけ、足が冷たい、のぼせる、という症状の女の子がいました。症状だけをみれば、「温経湯(うんけいとう)」の適応ですが、話を聞いてみると、肩が張っていて、眠りも浅いという、本人はあまり気にしていない症状がありました。そこで、思春期特有のストレスとホルモンバランスを考えた漢方生薬をプラスした結果、2日ほどで足が温まり、のぼせが取れ、しもやけも緩和しました。

漢方薬が効かない理由その2・製剤の質

漢方薬が効かないときに考えられる、もう1つの原因に製剤の質が挙げられます。漢方薬の原料は、産地や等級、育て方、使う場所(根か皮か)などで大きく変わります。成分が乏しく、本来必要な力が半分しか出せない、また添加物や香料が加えられ、生薬本来の味がわからなくなっている、といったケースもあります。
生薬は字のごとく「生(なま)の薬(くすり)」ですから、合成薬と違って産地や使用する部位、加工方法によって効き目が大きく変わります。

部位による違い

日本ではあまり重視されていない「枝」と「皮」の違いをご存知でしょうか? 部位が違いますから薬効も違うはずなのに、この違いを指摘する人はほとんどいません。
有名なのは「桂枝」と「桂皮」です。桂枝は、主に上半身や体の表面に作用します。気が上がりすぎたりしている人に桂枝を入れると、「ホッとする」という方が多いです。これは詰まっている経路を温め、気を下げて通りがよくなるからです。
桂皮は、主に下半身や体の裏面に作用します。長年、冷え性で体が冷え切っている人に「桂皮」を入れると「ホカホカする」と言われます。これは体の芯の部分に火がつき、じわじわと温まるからです。
「枝」と「皮」の主成分に共通しているのは「シナミックアルデヒド」という精油に含まれる物質です。これが少量含まれる「枝」だと末梢血管が拡張するので、血液循環を促進して発汗を促します(代表処方は葛根湯、小青龍湯、柴胡桂枝湯など)。
一方、シナミックアルデヒドが多量に含まれる「皮」の場合は体内臓器の血流量を増やし、体を温めます(代表処方は十全大補湯、八味地黄丸など)。
風邪の初期症状に処方する「葛根湯」は、上半身や体の表面に作用し、発汗を促す「桂枝」を使うべきです。じわじわ温める「桂皮」では時間がかかりすぎるのです。しかし、日本に流通している「葛根湯」のほとんどは、手に入りやすい「桂皮」が使われています。
なお、桂枝茯苓丸、桂枝加竜骨牡蛎湯、柴胡桂枝湯、柴胡桂枝乾姜湯のように「桂枝」と名の付く製品でも、ほとんどが「桂皮」を使用している中、当店では名前の通り「桂枝」を使用しています。

桂枝

肉桂の枝の部分を使用した「桂枝」。

片頭痛の代表処方「釣藤散(ちょうとうさん)」の主原料となる「カギカズラ」は、茎の中でもカギ型の部分にのみ薬効があるため、本来はひとつひとつペンチなどでカットしなければなりません。

カギカズラ

カギカズラ。カギ型になっている部分だけ切り取るのが本来の使い方。

採取時期による違い

採取時期による違いもあります。
三七人参(さんしちにんじん)は「田七人参(でんしちにんじん)」とも呼ばれる、ウコギ科 サンシチニンジンの根です。止血作用、強心作用、血糖降下作用、抗ストレス作用などの薬理作用があります。
三七人参は品質のよしあしを「頭根」という等級で判断されますが、当店では先人からの知恵を重視し、等級よりも「採取時期」にこだわっています。一番、栄養価の高い状態(9月、10月)に雲南省で採取した春七(はるしち)を使用しています。

産地による違い

産地によってランクが決まる生薬もあります。免疫、湿疹に対する治療効果が高いとされる黄耆(おうぎ)にはランクがあり、1.晋黄耆(晋耆)、2.蒙黄耆、3.国産のキバナ黄耆の順でよいとされています。1.の晋黄耆は治療効果が最も高く、安全性も高いことから中国では慢性腎炎にも用います。

加工方法による違い

先日、「漢方を飲んでるけど、入れ歯に挟まるのよね」というお客様がいらっしゃいました。入れ歯に挟まるのは、添加物が多く、ざらざらしているからです。当店で使用している漢方エキス製剤は「トウモロコシでんぷん」のみを賦形剤にしています。湯に溶け、服用しやすいのが特徴で、本来の生薬の持つ、薬効や香りを邪魔せず、煎じ薬のような雰囲気を楽しめます。

また、最も重要な製造方法について。漢方薬の製法は、料理と同じです。食材によって鍋にいれる順番や火加減があるように、生薬にも窯にいれる決まった製法があります。
当店で使用しているエキス製剤は、本来の製法を忠実に行っている製品ですので、より実感していただけると思います。

漢方の副作用とは?

漢方薬は、長い歴史の中、多くの経験が積まれ、今に至っています。本来、副作用と呼ばれるようなことはないと私は考えています。

しかしなぜ、副作用と呼ばれるようなことが起こるのか? それは、症状に適した生薬を使用していないからです。

例えば、甘草(かんぞう)は生で効かせる処方もありますが、反対に生を使うと症状にマッチしない処方もあります。筋肉の痙攣・こむら返りに使う「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」が代表です。本来は、高温で炙り上澄みをとった「炙甘草(しゃかんぞう)」を使わなくてはいけません。

この作業を「修治(しゅうち)」といいます。

修治とは
・生薬の不要な部分をのぞく
・毒性を和らげる
・有効成分の抽出力を高める
ために行うものです。

修治は、「その症状に対して的確に当てていくため」に重要な作業です。例として挙げた甘草は「生」「炙」を症状によって使い分けることが大切です。

漢方コラム1
甘草(かんぞう)で副作用が出やすい理由

甘草は、多くの処方に「調和」や「矯味剤」として使われます。そのため、複数の漢方薬を飲んで副作用が出た場合「過剰摂取によるもの」と説明されることが多いようです。

しかし、「炙甘草」と「生甘草」の使い分けができていないことが原因であるケースもあります。「炙甘草」には甘草の副作用として有名な「むくみ」などの副作用はありません。さらに、他の生薬を調和し、より効果を発揮させる力もあります。本来、甘草が使われる200以上の処方では、副作用のない「炙甘草」が適しています。

一方の「生甘草」は、清熱(せいねつ)作用があることから、激しい咳を止める「麻杏甘石湯」など、ごく限られた処方に適しています。

当店では、「炙甘草」と「生甘草」を使い分け、症状に合わせてご提案しています。


漢方で病気になる

残念なことですが、「漢方を飲んでもよくならない」、「悪化した」、「副作用が起きた」という声を耳にすることがあります。

「漢方薬が効かなかった方へ」でもお伝えしていますが、漢方薬を作る際は、修治(しゅうち)という作業が重要になります。修治は、①原材料の不要な部分をのぞく ②毒性を和らげる ③有効成分の抽出力を高める、という3つの目的で行います。
この修治ができていないと、重大な副作用を招く場合もあるのです。

例1.山梔子と腸間膜静脈硬化症

「腸間膜静脈硬化症」という病気をご存知でしょうか?
大腸壁内から腸間膜の静脈に石灰化が生じ、血流がうっ滞し、腸管狭窄などを引き起こす疾患です。この病気は、サンシシ(アカネ科 クチナシの果実)という漢方薬の副作用として広く知られています。

何故、このような副作用がおきるのでしょう。
サンシシ中に含まれるゲニポシドという成分が原因とされていますが、一説には、サンシシの皮が原因とも考えられています。
実際に、発症した製品は皮付きの物で、逆に皮を取った製品では起きていません。
中国、台湾の市場では、皮を除かれたサンシシが並んでいます。
当店では、安全性と漢方の歴史をそのまま反映させた、皮を除いた製品を使用しています。

サンシシに関しては、皮を取るという修治以外にも、あまり知られていない事実があります。
サンシシには種類があり、中国では染料に使われるものと、漢方薬として使われるものがはっきり区別されています。しかし、日本では、ひとくくりにサンシシとして混同されています。

水梔子

左が染料で使われる「水梔子」、右は当店が使用する「山梔子」。下は、皮をむいて修治した山梔子。

副作用の報告例はこちら

例2.地黄と胃腸障害

体を潤したり補血をする地黄(ジオウ)ですが、修治していない乾地黄(生の地黄を乾燥させただけのもの)を年配の方や胃腸の弱い方が飲むと、胃腸障害を起こします。
中国では昔から必ず、紹興酒に漬けて蒸すことを8回繰り返すという修治を行います。そうすれば熟地黄(じゅくじおう)という成分になって、胃腸に負担がかからなくなり安心です。

例3.甘草とむくみ

漢方コラムにも書きましたが、甘草(カンゾウ)は、生で効かせる処方(鎮咳の「麻杏甘石湯」など急性の症状に使用する処方)もありますが、生を使うことで副作用が起こる処方もあります。
たとえば、筋肉の痙攣・こむらがえりで処方される「芍薬甘草湯」。
本来は、高温で炙り、上澄みをとった炙甘草(しゃかんぞう)を使わなくてはいけません。
生の甘草には、筋肉を傷める、アルドステロン症(グリチルリチンの過剰摂取によるむくみ)などの副作用があります。飲み続けていると、効果が出ないばかりか、症状がより悪化することもあるのです。
「芍薬甘草湯」以外にも、甘草は調和として使われることも多いので、知らないうちに生の甘草を長期間にわたって服用している方も多いです。
当店では、滋養強壮効果を高める蜂蜜に漬けてから炒った炙甘草(しゃかんぞう)を使用しています。

 


どんなとき漢方薬局に行くの?

症状を抑えるのか、根本から治すのか

病院の治療は、症状を鎮める西洋医学が基本となっています。いま出ている症状を抑えるには、とても効果があります。一方で、「根本から治したい」と思った場合には、カウンセリング重視で根の部分から見ていく漢方薬局が適しています。

厚労省が認めた漢方薬の処方は236通りあります(それとは別に、さらに中医学の処方があります)。膨大な処方がある中で、その方に合わせた処方を探します。当店では、表面に出ている症状にもアプローチしますが、原因を見つけ出し、根の部分から治していくことを重視しています。自律神経やホルモンの状態など、何が根っこの部分なのか、カウンセリングしながら見つけていきます。

漢方薬の効果的な取り入れ方

ストレスによって現れる症状は、3つのプロセスを経て進行していきます。

1.肝血虚

肝臓は「血」の貯蔵庫です。この血を最も必要とする場所が「脳」で、目や頭、耳などを使い過ぎたり、とくにストレスを受けると、脳内の血液は相当に消耗してしまいます。
そこで起きる1つめの状態を「肝血虚(かんけっきょ)」といいます。めまいや手足のしびれ、視力の低下、足のつり、女性なら月経量の減少などがあります。


2.肝陰虚

「肝血虚」を放置すると、「肝血不足」から身体を潤す体液が消耗し、「肝陰虚(かんいんきょ)」という状態になります。「肝陰虚」は、めまい、目の乾燥、口の渇き、夕方からのほてりやだるさ、寝汗などの症状が現れます。

 

3.肝陽上亢

「血液」と「体液」の不足が進むと、最終的には血液検査などで判別できない自律神経の乱れが起こります。これを「肝陽上亢(かんようじょうこう)」といいます。潤すものが無くなった結果、熱感が上半身(特に頭部)に発生し、自律神経が乱れ、頭痛・不眠、耳鳴り・感情の起伏が激しい・日中いつも眠い、といった症状が現れます。

3段階の体の不調

1つめの「血虚」にみられる症状として、貧血やめまい、しもやけと表面の症状として冷えがあります。漢方薬を処方する場合、対症療法の「当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)」もありますが、「血虚」の背景には消化器系の問題やストレスが介在したりするので、ここのお手当もしないと治療効果が薄まります。
また、のどの異物感には「半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)」がよく出される処方です。しかし、のどの異物感の背景には、複雑化したストレスの存在があるので、根の部分を緩和させる疎肝剤を同時に処方することも治療ポイントの1つです。

2つめの「陰虚」で起こる症状に、ホットフラッシュや顔のほてり・のぼせがあります。この場合、「加味逍遥散(かみしょうようさん)」や「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」などが使われますが、同時に「潤す生薬」も必要です。

3つめの「肝陽上亢」の段階になると、「肝血虚」や「肝陰虚」を放置してきた結果なので、脾(消化器)の働きを元気にする、いわば根のベースになる生薬を入れる必要があります。

全てをケアすることで、ようやく自律神経が整うのです。

枯れた土に栄養素だけを入れてもよく育たないのと同じで、栄養素を吸収する小腸(脾)を元気にしないと、栄養素は吸収されません。吸収率が悪くなると血液の合成も低下し、貧血傾向になります。身体の入り口である小腸(脾)の働きをよくすることが、結果、治癒力を上げることにつながるのです。

本来、人というのは血(客車)と気(機関車)が一体となって健康を維持しています。
しかし血液量が少ないと「気」(エネルギー。体温保持や筋肉を動かす動力=ATP)だけが上にあがってしまい、フワフワし、眩暈やイライラが起こりやすくなります。
人間の体には、ほどほどの気や血、水が必要です。エネルギーも血も不足した状態が、鬱や癌などを引き起こします。

客車と機関車

 

症例

60代、男性。ひどい耳鳴りで涙目のお客様がいらっしゃいました。首も詰まった感じでめまいもひどい。症状が長年であることと、集中して治したいとのことで、ご提案した商品は高額になってしまいましたが、30キロ離れたご自宅までいったん戻り、お金を持って買いに来てくださいました。この方の「治したい」という強い想いと、製剤の品質から、私は絶対に良くなると確信しました。数日後、お電話で「いままで目に膜が張って辛かったが、テレビがはっきり見えるようになった!」とのお言葉を聞いて、ご提案できたことに喜びを感じました。

症例

50代、男性のお客様。目の力が弱く、見るからに苦労されているご様子でした。訊ねると5年前に奥様を亡くされたとのこと。まずは不安を取り除き、睡眠の質を高め、元気をつけることが必要と思い、体質に合わせた製剤をご提案しました、翌日、お電話で「久々によく眠れた。お腹が空くようになった」と言ってくださり、安心しました。

 多くのお客様が、背景につらいこと、悲しいことを抱えていらっしゃいます。
「何かありましたか?」と伺うと、介護で疲れていたり、転職で迷っていたり。そういう方たちには、「環境は変えられないけれど、自分の体は変えられますよ」とお伝えしています。

過去のつらかったことを話してくれる方もいます。そういう方達には、絶対的な共通点があります。それは「根底には優しさがある」こと。その優しさは悲しみからできています。
仏教の言葉に「大慈大悲」とあるように、悲しみ、つらさが分かる人は他人に優しくなれます。人に憂いを書いて優しいになります。そういう方には、「そういう役割を持って活躍なさってるのではないですか?」とお伝えしたいです。お伝えして、自信を持って帰っていただければと思っています。
ドーパミンを増やしてがんばっても長続きしません。ドンと落ちて、果ては人のせいにしてしまいます。冷静かつゆるやかに効くセロトニンを増やしたほうが、幸せになれます。ストレスが来たら柳に風で受け流す。そういう人生をご提案したいのです。

 


遠方の方へ 漢方薬局の選び方

対症療法と原因療法

よく「西洋医学は対症療法、東洋医学は原因療法」と言われますが、じつは漢方薬局でも、対症療法を中心に行っている店が多いのをご存じでしょうか。

ある漢方薬メーカーの血流の薬は、対症療法的な薬です。丹参の成分が血栓を溶かすのですが、血の汚れを取り、血流をよくします。しかし、これらの血流改善の生薬を単剤で服用すると、肝の造血作用が悪くなり、陰液が消耗するという副作用があります。
漢方薬局の先生が、ご自身の血圧が高くて血がドロドロだからと、この薬を飲んでいました。最初はよくなったのですが、この薬だけを飲み続けていると、血管が固くなっていきます。それを分かっているメーカーの担当者が「先生、補陰(血や水を補う)もしてください」と伝えていたのですが、飲み続けた結果、心臓の病気で亡くなってしまいました。

対症療法の薬と、下から治していく本治療法の薬とは違うのです。漢方にも副作用はあります。この血流の薬のように、シャープであればあるほど副作用もきついのです。この薬の場合、血の汚れを取るぶん陰虚を加速させるため、最初は「いいな」と感じても、補陰剤を足さなければカラカラになってしまいます。漢方薬局の店主であっても、それを知らない方もいるのです。

店主の姿勢

店によってお客さんとの接し方も異なります。寄り添うのか、距離を置くのかは店のスタイルですが、漢方薬の処方では「お客さんの体質を考えること」は欠かせません。
お客さんの体質を考えているかどうかは、出している処方を見れば分かります。私が信頼できるなと思う薬局の店主は、お客さんの状態を見て、「まずは酸性の血液を弱アルカリにしようね」というように、最初はあえて漢方薬を処方せず、質のよい栄養剤だけを提案することもあるそうです。

取り扱っているメーカー

どのメーカーの商品を扱っているかも、薬局を選ぶときの基準にできます。
信頼できるメーカーは、工場や生薬原料の出所等も隠さずに見せてくれます。医薬品だけでなく健康食品も同様です。GMPの食品健康組合が医薬品レベルで抜き打ち検査をしていますが、それをクリアするメーカーもあれば、不潔な環境で作っているメーカーもあります。よいメーカーは「24時間紫外線カット」など、非常にきちんとしています。大きな差があるのです。
製造環境のほかに、原料や製法による違いもあります。原料に関しては、規定以上の毒物が入っていて(中国産原料で農薬の多いロットがあった)、販売が止められた例もあります。副作用などの事故がないようにと、効果がないほど薄く作られていることもあります。

1.対症療法だけではないこと。
2.その人の体質を見て処方していること。
3.信頼できるメーカーの商品を扱っていること。
この3つが、漢方薬局を選ぶ際の指標になると考えています。

 


通院中の方へ

副作用に悩んでいる方へ

医療機関で治療を受け、副作用に悩んでいる方がいます。「肝血虚」(肝の血液が不足している状態)や「肝陰虚」(潤いが不足している状態)になっている方もいます。副作用がひどくなる例として、分かりやすいのはステロイドでしょう。

そのような方には、栄養を与えるだけでなく、たとえば消化器系が冷えていればそこを温めるなどのアプローチをします。
口頭でご説明するより、体の変化から分かっていただけることが多いです。「なんだか疲れが取れている」、その「なんだか」がたくさんあると気づいていただけます。

症例

30代女性で、20代前半から甲状腺数値のサイログロブリンが徐々に高くなり、来店時には桁違いの501(正常値は32.7以内)という数値だった方がいます。10年近く上がり続けていた数値が、漢方生薬3種類を4週間服用すると、数値が34まで下がりました。
甲状腺にたまっていた水も抜け、病院のドクターにも「何を飲んだの!?」とびっくりされたそうです。

症例

橋本病の60代女性は、疲れがとれないこと、抑うつ感、強度の筋肉痛を訴え、来店されました。お話を伺うと、甲状腺ホルモンの値T4が減少した状態。病院でヨードを補うチラージンというホルモン剤を処方されましたが、合わなくて吐いてしまい、「様子を見るしかない」と言われていたそうです。漢方生薬2剤を服用後、2日目で「眠れる」、「疲れがとれる」、「視界が明るい」等を体感され、6週間後の病院の検査では7.4という正常な数値に戻ったことから、ご本人も健康に自信が持てたようです。

漢方に病名はない

病院やクリニックを受診すると、病名を示されることが多いと思います。
一方、漢方の考え方には病名はありません。病気を見て薬を処方するのではなく、症状から推測して処方していくのです。

【木を見て、森を見ず】という言葉があります。
物事の一部分や細部に気を取られて、全体を見失ってしまうことです。
疾患を治すことも同じことがいえます。

偏頭痛なら、頭の痛み(炎症)はさることながら、首や肩の張りは? ストレスは? 眠れていますか? といったことをお聞きします。
慢性的な疲労なら、日頃の食べ物は? 何時に寝ていますか? 目の疲れは? などをお聞きします。
漢方の一久は、身体の全体像を診ながら疾患の根の部分(原因)と、葉の部分(不快な症状)を同時に労り、本来の健康な身体に戻すご提案をしております。

対処療法と原因療法


漢方の価格

高価なイメージのある漢方薬ですが、生薬1処方につき月1万円程度から始められます。
また、漢方薬に加えて、機能性食品などもご提案しています。
急性の症状を抑えるだけで大丈夫なら、1500円の葛根湯だけ出す、というような場合もあります。炎症を鎮めればいいのか、体の掃除が必要なのか? 根の問題から治したほうがいい場合は、その根を見極めます。

根本治療のため体質に合わせてフルで処方する場合、1か月1万円前後の生薬を、最初は2~3種類ご提案することが多いです。月4~5万かかることもありますが、ずっと飲み続けるものではなく、期間の目安は1か月から長くても3か月。手前みそですが、1~2ヶ月で変わる人は本当に変わるからです。
いままで何百万使っても駄目だった人が数十万ですっかり良くなることもあります。

こうして漢方で土を耕しながら、食養生をご提案します。土壌がよくなれば、漢方を飲む量を減らせますので、最初だけは人生の中で2か月なら2か月と期間を設けてメンテナンスしてほしいと考えています。
癌などの重疾患ではとくに、最初に集中的にメンテナンスをします。勝負は2か月ですとお伝えします。まず一度、グッと濃いものを入れて効かせることが大事なのです。

漢方薬は高いというイメージがあるためか、緊張して説明が耳に入っていないお客様がいらっしゃいました。「4つ合計で9万円です」とお伝えしたのですが、1つが9万だと思われ、表情が固まってしまいました。「全部で9万円です」と改めてお伝えしたところ、安心して買っていただけました。

お客様のつらい症状を拝見しながら、薬剤師としてなんとかお役に立ちたいと考え、ご提案しています。
無理におすすめすることはありませんので、よく考えて決めていただければと思います。

店主・小國修広の漢方法話

お客様との対談

漢エビデンス・ナビ