「漢方の一久」店主・小國修広が、毎週金曜日15時45分頃~YBCラジオ「ゲツキンラジオぱんぱかぱ~ん」内、「いちきゅうさんの漢方法話」に出演しています。

第128回 肥満と皮膚炎の関係性

小國 本日は、皮膚炎による全身の慢性的なかゆみでご相談に来られた30代の男性が、炎症が取れて楽になり、ダイエットにも成功されたというお話をお送りします。
かゆみがずっと続くというのは、つらいでしょうね。
小國 そうですね。この方は、20代の半ばにお仕事の環境が変わったときから皮膚の炎症が始まったそうで、とくに肩や首、背中など上半身のかゆみがひどいとのことでした。さらに脚がつったり、熱い物を食べたり飲んだりすると汗が噴き出して止まらないという不調もおありでした。
以前のお話では、必要以上に汗をかく方は疲れやすいということでしたね。
小國 はい、必要な体液が漏れ出ることで、疲れも生じやすくなってしまうのです。 この方の場合、舌を拝見すると体の中は冷えていて、消化器の働きも弱く、「気虚」というエネルギー不足の状態でした。汗腺を閉める力が足りず、そのために汗をかきやすいと考えられました。
いろいろな不調が重なっていたんですね。どんなケアをされたのでしょうか?
小國 まずは消化器の働きを良くして汗腺を引き締めながら、皮膚の炎症を鎮めて潤いを与える処方をお出ししました。数週間ほどお試しいただいたところ、ひどいかゆみが減ってずいぶんラクになった、とご報告をいただきました。汗をかくことも減ったそうです。
それは良かったです! ところで、先ほど「ダイエットにも成功された」とおっしゃっていましたが…。
小國 そうなんです。この方は皮膚炎とともに体重の増加にもお悩みだったのですが、実は肥満とかゆみは関連していて、脂肪細胞からも炎症物質が出ているんですね。つまり内臓脂肪が多いと、炎症も起こりやすくなってしまうのです。そのことをご本人にお伝えしたところ、せっかく皮膚炎が良くなってきているのだから、とダイエットにも前向きに取り組んでくださったのです。
それは素晴らしいですね。
小國 始めて数か月ですが、まわりから見てもはっきりと分かるほどスリムになられて、以前は入らなかったスーツもすっと着られるようになった、と喜んでくださいました。皮膚のかゆみもほぼななくなり、たまに起きてもすぐに収まるようになったそうです。
かゆみと気になっていた体重増加、どちらも解消されたんですね。
小國 はい。一見関係ないように見える複数の不調も、実は関係し合って起きていることが少なくありません。それを解き明かし、全体を良くしていくのが漢方です。重なる不調にお悩みの方は、ぜひご相談ください。

(2021年4月23日放送分)

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