「漢方の一久」店主・小國修広が、毎週金曜日15時45分頃~YBCラジオ「ゲツキンラジオぱんぱかぱ~ん」内、「いちきゅうさんの漢方法話」に出演しています。

第121回 突然始まった痛みの原因

             

小國 本日は、原因不明の喉や舌のぴりぴりとした痛みに悩んでいた60代の男性が、痛みが取れてみるみる元気になったというお話をお送りします。その痛みは突然始まったのだそうです。
突然始まって、しかも原因が分からない痛みが続くのは不安ですよね。
小國 そうですよね。以前もお伝えしましたが、喉や舌の痛みは、ストレスから自律神経の働きがアンバランスになって起こることが多いのです。さまざまな不調が一度に生じやすいのですが、この方も喉や舌の痛みに加えて、頭痛やたちくらみ、口内炎、足先の冷え、深夜に数回目が覚める不眠にも悩まされていました。
たくさんの不調があって、おつらかったでしょうね…。それにしても、ストレスが引き起こす症状というのは人によって違うんですね。
小國 そうですね。ですので、舌の状態やその方のお話から、しっかり判断して対処を組み立てることが大事になります。 舌を拝見すると、この方の場合は中央から先端にかけて黄みがかった痰があって、水分代謝が悪いことがみてとれました。同時に舌全体が真っ白で冷えの兆候もあるうえに、お通じは2日に1度ということだったので、全体的に巡りが滞っていることがわかりました。 そこでまずは、高ぶった神経を和らげるとともに、下半身の冷えを取って巡りをよくする処方にいたしました。同時に、血を補って筋肉のこわばりを解くお薬もお出ししました。
まずはストレスと、循環の悪さにアプローチされたんですね。
小國 はい。それから数週間後にまたお話を伺ったのですが、まず、冷えが大きく改善されたことに驚いていらっしゃいました。それまでは電気毛布の温度を「強」にしても温まらなかったのが、いまはスイッチを切って寝ることもあるくらいになったそうです。夜中に目が覚める回数が減り、同時に、気になっていた喉や舌のぴりぴりもほぼなくなったとのことでした。
それは良かったです! 多くの不調の根本に、実は冷えがあったのでしょうか。
小國 はい、そうだと思います。立ちくらみや便秘も次々と解消され、ご本人もまさに冷えが原因だったのだと実感されていました。 ご自分で作物を育てることが好きな方で、不調のためにしばらく農作業を中断していたのですが、体調も上向きなのでそろそろ再開する準備をしてもよいのでは、とお伝えしたらとても喜んでいらっしゃいました。
生薬がぴたりと合ったんですね。本当に良かったです。
小國 ストレスが長引くと、思いもよらないところに不調が起きることがあります。そんなときでも、その方の症状に合わせて、オーダーメイドの対処ができるのが漢方の強みです。何をしてもなかなか良くならないお悩みは、ひとりで抱えず、ぜひご相談ください。

(2021年3月5日放送分)

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