「氷山の一角」で終わらせない
ダイエットは体重や体形だけの問題ではなく、ストレスや不眠など、背景に隠れている問題があります。
症例
58歳の女性経営者。仕事柄、常に緊張を伴い、根底にストレスと不安があり、しっかり眠れていないとのこと。ストレスが強く、ふわふわ感がある。このような状態を肝鬱気滞(かんうつきたい)といい、舌診をすると舌先は赤く、全体の色は淡紅色で、血虚の状態だと思いました。ストレスで食べてしまううえに、眠りが浅いため代謝が落ちていて、体重が増えてしまったようです。漢方製剤と脂肪を燃やす機能性食品を処方したところ、数日して眠れるようになり、首や肩のコリも軽くなったとのこと。脂肪もしっかり減って、自信がついた!と笑顔で再度ご来店いただきました。
症例
60代前後のぽっちゃり型の女性。1年弱でトータル1キロしか落ちないのに通い続けてくださっていました。ある時、疲れていたようなので舌を拝見したところ、ストレスが強い方だとわかりました。普段は笑いもある元気な方と思っていましたが、実は自律神経に問題があり入院していたといいます。不安で食べている方と推測し、心を落ち着かせる処方をしました。心の奥の不安、恐怖が体重に影響していたパターンです。現在はよく眠れ、日中の間食も減ったとのことです。
なぜ漢方薬局でダイエットをするのか。
多くの方が、表面だけでなく根の部分から体を改善したいとおっしゃいます。
当店では、この氷山のイラストをお見せしてダイエットの説明をしています。氷山の上の部分が「見た目の脂肪」です。
太ってしまう背景には、水面下に隠れている原因(代謝の問題やストレス、不眠など)があります。当店でお勧めしている漢方ダイエットは、代謝を上げながらストレスを取り去り、食欲の出すぎを正常にすることで、原因となる氷山の下の部分にアプローチします。
一方、氷山の上の部分(見た目の脂肪)を落とすためには、食事指導をご提案しています。
ダイエットが必要になった背景には、ストレスやつらさ、悩みがあるように思います。脂肪を落とすのに加えて、隠れている原因の部分から改善するという漢方ダイエットはすでに3,000人以上の方の脂肪を燃やしてきました。
10年以上、通い続けてくれるお客様のうち8割がもともとダイエットで来店された方で、リバウンド防止や健康の質を上げたい方など、笑顔でご来店いただける方が多いです。
食事によるダイエットは大きくわけて
1.カロリー制限
2.糖質制限(血糖値)
の2つに分かれます。
体重とは、水分・筋肉・骨・脂肪の4つで構成されています。理想のダイエットとは脂肪を燃やすことですね。
しかし、1のカロリー制限ダイエットを行うと、水分、筋肉が減りやすく、脂肪は最後に落ちます。ショックで食事ができない方が「やつれる」とはこの状態です。
一方、糖質制限は、筋肉はそのままで、最も気になる脂肪から減らすことができます。「白米を食べる代わりにお肉、野菜を食べる」「ビールから焼酎に変える」などのテクニックに加えて、アディポネクチンという脂肪を燃やす痩せホルモンを円滑に増やすことで、より健康的にダイエットが加速するわけです。
薪ストーブを思い浮かべてください。薪をくべても、酸素が少ないと不完全燃焼を起こし、黒煙が出ます。体もこれと同じで、栄養(糖・脂質・たんぱく質)は摂っていても、ミネラル・ビタミンが不足すると疲れ、だるさ、ストレスにつながります。食生活は大きく変えなくてもいいので、糖・脂質・たんぱく質を燃やすミネラル、ビタミンを入れることで栄養が効率よく燃えるようになります。血流もよくなり、見た目も変わって自信がつき、健康に自信が持てるようになります。
「眠り」を重視する理由
体重が増える理由の大きな原因に、心理的な部分があげられます。
神経がすり減り、眠りが浅いと脂肪は燃えにくくなるからです。それを改善するには、深い睡眠と豊富な血液が必要です。
実は悪い睡眠が体を太りやすくし、ダイエットを邪魔することがわかっています。
悪い睡眠とは2つ。
一つ目は睡眠時間が短いこと。7~8時間の睡眠の方に比べて、5時間以内の方は73%も肥満になることが分かっています。
二つ目の悪い睡眠とは、「眠りが浅い」ことです。
眠りが浅いと自律神経が乱れ、過食や早食いになる傾向にあります。
ダイエットのお客様の共通点として、眠りが浅い方が多いようです。
そこから、耳鳴り、疲労感がとれない、朝起きるのがつらい、日中眠いなどの症状が起こりやすくなります。
当店のダイエットは睡眠も重視しているのはこのためです。
ところで睡眠の深さは4段階あります。健康な方は、就寝後すぐに泥のように眠ることができ、その際、「成長ホルモン」が分泌されます。この成長ホルモンの大きな役割は2つ。
「眼の疲労と脳の疲労をとり」、そして「血糖や脂肪を燃やす」こと。
いずれもダイエットにつながっているのですね。
熟睡時に出るデルタ波は、ジェットコースターのように一気に下降し、また上にあがります。90分間で1サイクルです。寝ついて最初の90分(ノンレム睡眠)が勝負で、ここで成長ホルモンが出るかどうか決まります。
では浅い睡眠(レム睡眠)はどうでしょうか。これまで「レム睡眠は役に立たない」といわれてきましたが、最近、2つの役立つ働きが発見されました。1つは体の筋肉を緩める働き。もう1つは記憶の整理をする働きです。
睡眠は大切です。とくに深い睡眠は体をリセットするのにとても役立つものです。
深い睡眠(ノンレム睡眠)時に成長ホルモンが分泌される。
ダイエットでご来店頂くお客様は、すでにサプリメントのダイエットやエステなど他のダイエットをご経験済みの方が多いです。
中でも多いのが置き換えダイエット。
このダイエットはカロリーを制限するものですので、一定の数値の変化が見られることもあるようです。たとえば80キロある方なら、基礎代謝に余力があるため、1食置き換えれば確実に体重は落ちます。しかし、代謝は体重と比例して変化するので、カロリー制限でダイエットすると代謝も落ちていきます。また、体温の低い女性がカロリー制限をすると、代謝がさらに落ちることから“寒がり”になります。私も駆け出しの頃、置き換えのダイエット商品をお奨めしていましたが、当時から「置き換えるだけでは足りない」と感じ、良質なタンパク質を補給できる栄養素をあわせてご提案していました。現在はさらに、食と睡眠の改善が必須であることを、強くお伝えしています。
さて中医学では、人はストレスを断続的に受け続けると、気力や血液量が消耗し、目がかすむ・足がつる・のぼせ・夕方から疲れる・眠りが浅いなどの症状が起こり、
最終的には「気血両虚」という状態になるといわれています。この代表的な疾患にうつ病があります。うつ病は、初期段階では太る人も多いようで、血糖値が下がりやすい方などは甘いお菓子に手が伸びやすくなります。人はおいしいと感じるとドーパミンが出るからです。お菓子を食べながらパソコンをして、パソコンのパネルで脳が炎症を起こし、眠れなくなり、朝起きられない、という流れになります。
現代人は栄養過多(糖・脂質・タンパク質)で、栄養不足(ミネラル・ビタミン・食物繊維)と言われています。
糖・脂肪・たんぱく質の3大栄養素も必要ですが、摂りすぎると高血糖や肥満になり、身体に必要な血液や、体を潤す陰液も減り、のぼせやイライラ、不眠につながります。
「人に良い」と書いて「食」とあるように、おいしいものと、体に良いものは違います。
体に良いものも積極的に摂りながら、食と眠りを改善することで、ダイエットはもとより
健康の質を高めて、元気に過ごしたいものです。
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