まずは不安やストレスを取り除く

不妊で悩んでいる方は、ストレスを受け続けたことで眠りが浅くなっていたり、抑うつ感を持っている方が多いようです。また、女性は「陰」といって、気持ちをため込んだり、ご自身を責める傾向があることから、「私がダメなのかな」と悩む方も多いようです。

何年も病院へ通われた後に、ホルモン剤等をやめて来店される方が多いです。そういう方は、精神的、肉体的に疲れきっています。ご夫婦2人とも気力が落ち、目がうつろだったりもします。そんな方々にも、光の見える話、やれることはたくさんあります。

女性が一人で来店されたときには、「奥さん一人でがんばってもいいです。でも、それでは夫婦という車の片輪しか動いていない状態です。旦那さんという車輪も動かなれば、赤ちゃんというゴールには到着できません」とお伝えしています。現在、不妊の原因45%は女性、55%は男性と言われています。赤ちゃんの授かるご夫婦の多くは、ご自身の健康の質を高めることに前向きな方たちが多いように感じます。これは、決して難しいことではありません。気持ちにゆとりを持ってできることをお伝えします。

不妊の原因を探っていくと、疲労感や不安、悲しみの話になることが多いです。そうした場合、ご提案する処方は精神疲労を和らげる漢方生薬と基礎体力を上げていく栄養剤がメインとなります。蓄積した疲労をリセットするのは「深い睡眠」しかありません。まずは深い眠りを得て、朝の目覚めから実感していただきます。
赤ちゃんを授かるのに、よく苗木と大地のお話をします。卵子や精子の素となる「さらさらした良質な血」を作る栄養素(苗木)と、大地というご自身の細胞をあたたかく、柔らかい土に変えていくのが漢方生薬。これらを実践していただくだけで、すんなりとご懐妊するケースも多いのです。

症例

40歳の看護師さんで夜勤あり、旦那さんも夜勤のあるご夫婦。心の不安を取り去り、ホルモンバランスを良くする漢方生薬と、良い精子や卵子の原料になる栄養素を摂っていただき、4週間でご懐妊されました。ご懐妊後は流産防止と抑うつ感にならないよう、漢方生薬と栄養素を摂っていただいた結果、2017年秋に元気で肌のきれいな男の子が誕生しました。

「授かる準備」のお手伝い

不妊相談で欠かせないのが食事と生活習慣のアドバイスです。

血液は形を変えて、私たちの身体を支えています。たとえば血液が卵巣に行けば卵子になり、精巣に行けば精子になります。そして血液が乳腺を通れば、約1分30秒後には母乳になるのです。乳飲み子という言葉の由来は血飲み子から来ているのもうなずけます。

ところが、血液の量が少ない(血虚)、または質が悪ければ(瘀血)、卵子や精子の質や数が低下したり、また出産後の母乳の質も低下します。(質のよい母乳は、赤ちゃんが安心し、ママの目を見てごくごく飲みます)

元気で丈夫な卵子や精子、母乳はすべて血液が材料。質のよい血液は日頃の食事でしか造れません。おいしいものと身体に良いものは違うのです。

そこで、サラサラとした質の良い血液を造る材料(栄養素)を入れながら、漢方生薬で内臓に力をつけます。これらの処方で、朝の目覚めが良くなってきた、日中イライラしなくなった、そういえばお腹があったかい等の変化を感じられたら、妊娠力が上がっていると言えます。 

不妊と漢方

食事による体質改善の流れ。食べ物の質を改善することで、最終的に妊娠力が高い状態になる。

子宝のもっとも厄介な敵に「慢性ストレス」が挙げられます。慢性ストレスを断続的に受けると、深夜にストレスホルモンのコルチゾールが大量に増え、コルチゾールが増え続けると、血糖値が上がったり、不眠、抑うつ感があらわれ笑顔も減っていきます。ですから、このストレスホルモンを軽減させることも大切です。
また、栄養素や漢方生薬を飲んでも効果が出ない方がいます。それは小腸が弱っている方(脾虚)。食べ物でも漢方生薬でも、吸収する場所は「小腸」ですから、お腹が冷えて下痢や軟便、便秘になっていると、吸収率は低下しています。

そこで小腸(脾)を温めて、下痢、軟便の方なら腸内の余分な水分を尿として排泄し、腸内環境を整え、吸収を良くする。便秘の方なら腸を温め、毎日のお通じをしっかり出す。小腸の4cmの奥にある子宮も温まるので一石二鳥です。

食事については、「赤ちゃんが遠ざかる食べ物」など重要なエッセンスをお伝えしています。
結合剤、トランス脂肪酸を含む食品は、血栓を作り、羊水の質も低下させます。
身体の細胞を冷やし、ゆるめてしまう「陰性食品」も大敵です。腸が緩むと便秘になり、細胞の分裂も緩むことから、健康な赤ちゃんができにくくなります。

ご夫婦で妊娠力を高める方法は漢方生薬や栄養素以外に、何通りもあると思います。部活動に例えるなら、練習と大会本番のようなもの。自然妊娠や体外受精は、大会本番です。それに向けて、ご夫婦二人で準備をしていくのです。

赤ちゃんのベッドである子宮を温めるためには、ゆっくり入浴(半身浴)することをおすすめしています。
すぐのぼせてしまう場合は、半身浴や、露天風呂のように戸を開けて入ることで、顔のぼせもなくゆっくり入れると思います。

山形ですから冷えには注意します。冷えを改善するのに一番大切なことは、下半身を温めることです。
足首をレッグウォーマー、お腹を腹巻で温める。普段から五本指ソックスに上から通常ソックスを重ね履きして、冷えをしっかり改善するのも良いでしょう。

そして、卵子ができる時間帯は深夜です。脳の疲労を取る『深い睡眠』のために、午後11時までには寝ることをお奨めしています。

こうした生活習慣を少し変化させるだけでも、妊娠力を高めることはできるのです。

必ず妊娠するとはお約束できませんが、「赤ちゃんを授かる準備のお手伝い」ならできます。
不安やストレス、悲しみを軽減させながら、身体を労わり、元気なお母さんになるための準備をご提案しています。

お母さんになる方に伝えたいこと

精子は涼しく、卵子は温かく。

男性の精子は熱に弱いことから睾丸が外に出ていますね。よってサウナなどはお奨めしません。反対に女性の卵子や子宮は温かい環境がよいです。お腹の中にあるのはそのためなでのすね。男子は涼しく、女子は温かく。

妊娠中は、マザーホルモンと呼ばれるオキシトシンが豊富だと、お母さんの自律神経が安定し、赤ちゃんにも優しく穏やかな環境になります。反対に、妊娠中にストレスを受けたり、不安を感じたりすると心拍数が激しくなり、赤ちゃんの寝床にある血管が突き上げられ、生まれてくる赤ちゃんも不安定になります。女性がオキシトシン、セロトニンが十分に出ていると、赤ちゃんの心地よい、いいゆりかごになるのです。

こうしたことに配慮し、赤ちゃんを育む環境を根底から整えます。
当店の子宝相談を経て生まれた赤ちゃんは、髪の毛がしっかり生え、肌がきれいで、眼に力のある元気な赤ちゃんが多いようです。

また子宝相談で初のご出産をした方が「でもこれから二人目ができなかったらどうしよう」というお母さんも多いですが、「すぐにできると思いますよ。身体が変わっているからね」とお伝えします。実際に、当店の子宝相談を経て第一子を出産された方は、2人目がすぐにできるケースが多いです。それは身体が整っているからです。
戦前の日本人の平均出産人数は7.5人だったといいます。そこまでとはいいませんが少なくともその頃の日本人のように、疲労の少ない「健康な身体作り」をご提案していきたいです。

漢方コラム
「保健体育」で伝えて欲しいこと

女性は何歳から排卵しているかご存知でしょうか。「初潮の前後かな」と思われがちですが、じつはすでに赤ちゃんのときから排卵は始まっています。
多くの方が、妊娠に関する知識が乏しいまま大人になり、結婚が周りより遅いのでは、と気になる年齢になって「そろそろ…」と不妊治療を始めます。
日本の不妊に関する問題の半分以上は、中学や高校の保健体育の授業を「少し変えること」で改善できると私は思っています。


1)スカートスタイルで体や子宮を冷やすこと。
2)食べ物の種類で卵子の老化が早くなること。
3)イライラや不安で血流障害が起き、生理痛、頭痛が生じること。
4)妊娠力のピークの年齢、そして卵子は加齢とともに減っていくこと。

こういう事実を知らないまま、妊娠・出産を「先の話」と考えている人がたくさんいます。心臓が痛くなったら不安になるのに、生理痛なら鎮痛剤でしのいでしまう。そして原因である冷えや血流障害(瘀血)を放置した結果、子宮筋腫や子宮内膜症などの疾患になる女性も多いです。
保健体育の授業で、妊娠・出産はもちろんですが、「自分の体を労わること」をもっと伝えられれば、将来が変わると思うのです。 

 

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